2013年01月10日
米国木造建築事情1 ─ 小澤征爾ホール
マサチューセッツ州、タングルウッドにある小澤征爾ホール。
主体構造は、鉄骨造ですが、100年以上前の工場の木造躯体や
チーク材による繊細な造り込みがなされています。
もう少し、そのディテールに触れておきます。
可変的な対応ができるホールへと変貌させるのが、
まず、妻壁ある6mもあるチーク製の大開口部。
これが開閉されることで、手前の芝生広場が
内部のホールと一体化されるわけです。
もちろん、この建具には鉄骨の骨組みが併用されていますが、
外部に対しては、見事なチークの壁と化しています。
建物の両側を取り巻いているのが米松製の外部廊下ですが、
この骨太の柱・梁が、工場架構の再生材。
その手摺は、主柱から金物で浮かしたフレームに
組子細工の格子がはめ込まれていて、
非常に美しいプロポーションを創り出しています。
写真では、少々ごつく見えていますが、
廊下全体のボリューム感の中で見ますと
ちょうど良い塩梅なんです。
こうした、心地よいディテールは
内部のホールで、更に昇華されていきます。
2~3階のバルコニー席がこれまたチーク製でできているですが
これがまた繊細そのもの。
米松の梁によるキャンティレバーの仕様や
手摺の柱、そしてそこに挿入されている組子格子や椅子。
見るもの、触るものに日本的な感性が活かされ、
全体として、非常に繊細かつ大胆な空間構成が
産み出されているのですが、
これは、小澤征爾氏の音楽にも通じるものだと思います。
ボストン交響楽団の夏の家として知られ、
年間100万人超の来訪者があるとは思えない素朴な町ですが、
こうした建物の詳細を見るにつけ、
凛としたものつくり精神が貫かれていました。
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Posted by macchan24 at 09:36│Comments(0)
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